JS-SEZとは?ジョホール不動産価格上昇の背景にある経済特区を知る

本記事は2026年7月21日配信のメルマガ【海外不動産キーワード解説 vol.8】に加筆、修正したものです。

海外不動産に興味を持つと、調べれば調べるほど耳慣れない言葉に出会います。
このシリーズでは、そうしたキーワードをひとつずつ、できるだけわかりやすくお伝えしています。

今回は「JS-SEZ(ジョホール・シンガポール経済特区)」を取り上げます。ジョホールの物件をご紹介する際に必ず話題に出るキーワードですが、正確にご説明する機会がなかったので、今回まとめてお伝えします。

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2025年1月7日にマレーシア・シンガポール両政府が署名した経済特区です。ジョホール州南部の約3,288平方キロメートル、9つの重点開発エリアにまたがり、既存の開発エリアも含まれています。
対象企業には、最大15年間、法人税率5%(通常24%)という大幅な優遇税制が適用され、半導体・AI・航空宇宙・医療機器などの高付加価値産業が主な対象です。

特筆すべきは「2つの主権国家にまたがる経済特区」という制度設計で、東南アジアでは初の試みとされています。中国の深セン・香港モデルを参考にしたとも言われており、シンガポールの資本・技術力とジョホールの土地・労働力を組み合わせる狙いがあります。

(出典:Bernama、2026年 / MOF Malaysia、2025年1月8日 / Trowers & Hamlins、2025年1月

企業誘致の話であって不動産と直接関係ないと思われがちですが、実際にはジョホールの住宅市場に既に影響が出ています。JLLマレーシアの調査によると、ジョホールバルのサービスアパートメントの平均取引価格は2024年通年平均比で20.4%上昇、二階建てテラスハウスも8.6%上昇したと報告されています。背景には、JS-SEZで働く「ナレッジワーカー」(個人所得税率が10年間15%に軽減される優遇対象者)の流入や、企業進出に伴う雇用創出があります。JS-SEZは「企業向けの制度」であると同時に、「住宅需要を生む制度」でもあるのです。

(出典:Bernama、2026年

「JS-SEZ=RTSリンク」と混同される方が多いのですが、両者は別物です。RTSリンクは越境鉄道というインフラそのものであり、JS-SEZは税制優遇を含む経済圏の制度設計です。RTSリンクはJS-SEZを支えるインフラの一つという位置づけになります。
また「特区に入っていればどこでも優遇が受けられる」わけではなく、9つのフラッグシップゾーン内で、かつ対象業種における現地での事業実態(雇用・拠点)が求められます。エリアの将来性を見極める上でも知っておいて損はありません。

(出典:Raffles Corporate Services

あくまで私個人の見解ですが、JS-SEZは一過性の話題ではなく、今後10年単位でジョホールの産業構造を変えていく制度だと捉えています。物件を見る際も「RTSリンクから近いか」だけでなく、「どのフラッグシップゾーンに近いか」という視点を持つと、エリア選定の解像度が上がると思います。税制優遇の詳細は複雑で頻繁に更新されるため、法人としての進出をご検討の場合は、必ず現地の専門家にご確認ください。

次回も別のキーワードを取り上げます。「これも知りたい」というご要望があれば、ぜひお問い合わせフォームなどからお知らせください。


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