ジョホール州は、シンガポールとの連携を強化し、経済的なハブとして成長を目指しています。
その一環として「ジョホール・シンガポール特別経済特区(JS-SEZ)」が設立され、東南アジア版の「深圳」を目指す大規模なプロジェクトが進行中です。これは、日本の投資家にとっても注目すべき新しい投資機会を提供しています。
目次
1. 深圳モデルとは?
深圳は、中国の経済特区として設立され、数十年で小さな漁村から国際的なハイテク都市へと変貌しました。ジョホールは、この成功モデルを参考にし、中央と地方政府の強力なサポートを受けながら、外国企業の誘致と改革を推進しています。ジョホール州知事のオン・ハフィズ氏は、2024年3月に深圳を訪問し、深圳と香港のモデルから学ぶことの重要性を強調しました
2. ジョホール・シンガポール特別経済特区のビジョン
この特別経済特区は、約3,505平方キロメートルの広大なエリアをカバーし、デジタル経済、金融サービス、エネルギー、製造業など、16の主要産業を重点的に発展させることを目指しています。このプロジェクトは、2030年までに10万人の雇用を創出し、年間260億米ドルの経済効果を生み出すことを期待されています。これにより、シンガポールとジョホールの経済がさらに統合され、地域全体の成長を後押しすることが期待されています
3. シンガポールとの密接な協力
ジョホールとシンガポールは、歴史的に強い結びつきを持つ隣国同士です。2022年に発足したマレーシアの統一政府と、2024年に就任したシンガポールのローレンス・ウォン政権の下で、両国の関係はさらに強化されています。シンガポールは、土地の制約から来るスペース不足を解消するため、ジョホールに多くの関心を寄せており、両国が協力して新たな経済圏を形成しようとしています
4. RTSリンク:シンガポールとジョホールを繋ぐ新たな大動脈
ジョホール・シンガポール特別経済特区の成長を支える重要なインフラプロジェクトが、「RTSリンク」です。RTSリンクは、シンガポールのウッドランズ北駅とジョホールバルのブキット・チャガール駅を結ぶ高速鉄道で、2024年8月時点で工事の進捗は83%に達しています。このプロジェクトが完成すると、毎日数万人の通勤客がより快適に両国を行き来できるようになり、通勤時間が大幅に短縮されるとともに、ジョホールバルの不動産や商業活動にも大きな影響を与えるでしょう。運行開始は2027年1月を予定しており、経済特区の発展において重要な役割を果たすと期待されています
5. シンガポール企業の関心と課題
シンガポール企業の間では、ジョホールへの関心が非常に高まっています。「Greater Together: Two Economies, One EcoSystem」というレポートによると、調査に参加したシンガポール企業の93%がジョホールを魅力的な投資先と評価しています。ただし、技術者や熟練労働者の不足、労働許可証の問題など、さまざまな課題も存在します。これらの課題に対処するため、政府はインフラ整備や行政手続きの改善を進めています。
6. 今後の展望と投資機会
ジョホール新経済特区の成功は、交通インフラの整備や特別税制の導入、金融システムの効率化などにかかっています。日本企業にとっては、低コストでの事業展開が可能であり、シンガポール市場へのアクセス拡大の好機です。ジョホールの発展は、東南アジア全体の経済成長に寄与するとともに、新たな投資先として魅力的です。
ジョホール新経済特区は、東南アジアにおける経済成長の新たなエンジンとなる可能性を秘めています。日本の投資家にとっても、将来性のある魅力的な投資先となるでしょう。これからの展開に注目し、積極的に情報を収集していくことが重要です。
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