インフレ加速、RTS進捗、投資フォーラム。今週のアジア定点観測

本記事は2026年5月24日配信のメルマガ「サンデーブリーフィングvol.6」を加筆修正したものです。

333737
Source :Transport Minister Anthony Loke speaks to reporters after visiting the Rapid Transit System Link project site, the ICQ Complex, and the Bukit Chagar RTS Station in Johor Bahru on April 3, 2026. — Bernama pic (malaymail)

中東情勢の長期化を受け、マレーシア経済への影響を懸念する声が広がっています。専門家は現時点での急激な後退は否定しつつも、今後数カ月でエネルギーコストの上昇が輸送費や食品価格に波及し得ると指摘しています。

マレーシアは輸出依存型の経済構造ゆえ、長期化リスクに注意が必要という論点ですが、同時に現段階では危機的状況ではないとも強調されていました。短期的な不確実性はありつつも、ファンダメンタルズは保たれているという認識は変わらないと見ている、という報道です。

中東リスクがマレーシア経済に与える影響として、物流コストや食品価格への波及が懸念されています。ただ、私見ですがマレーシアはエネルギー産出・輸出国でもあるため、原油・LNG価格の上昇が国家収入の増加要因になる側面も忘れてはなりません。製造業コストへの影響は確かに注視が必要ですが、単純な被害国として捉えるのは片面的だとも思います。記事の言う「どれほど長く続くか」という視点自体は重要ですが、マレーシアの場合はエネルギー産出国としてのバッファーがある分、他の新興国より影響は限定的という見方もあります。

出典:週刊Mtown(2026.05.19):How Bad Can It Get?

メルマガ登録-海外不動産情報-3

マレーシア統計局が発表した2026年4月のCPIは前年同月比1.9%上昇。上昇率は2カ月連続で加速し、2024年10月以来18カ月ぶりの高水準となりました。保険・金融サービスや運輸の上昇が目立った一方、食品・飲料は1.2%の上昇にとどまっています。

1.9%は日本と比べれば低い数字に見えますが、マレーシアとしては「加速が続いている」という点が注目ポイントです。中銀が政策金利をどう動かすか、注視しておく局面だと思っています。

インフレ局面は、実物資産である不動産の相対的な魅力が高まりやすい時期でもあります。賃料への転嫁が進みやすく、現金や預金で持ち続けることのコストが意識されてくる──そういう局面に差し掛かってきたと見ています。

出典:亜州ビジネス/ASEAN産業データ(2026.05.19):マレーシア4月CPI上昇率1.9%

2026年末~2027年1月の開業を目指すジョホールバル~シンガポール間のRTSリンクについて、4月時点でeゲートの設置が完了し、手荷物スキャナーの設置も予定より2カ月前倒しで進んでいると交通大臣が明らかにしました。また、5月5日にはジョホール州が、RTS開業後の交通渋滞に備えたジャラン・スクダイ沿いの対面通行試験実施を発表。今年第3四半期からの3カ月トライアルを予定しています。

開業後の交通対策の議論が始まるということは、いよいよリアルな開業前夜に入ってきた感があります。ブキ・チャガール周辺への注目がさらに高まるタイミングでしょう。 私は先日、現地でRTSの試験運行の現地動画を見る機会がありましたが、国家間がつながる歴史的な瞬間と強く感じました。

出典
Malay Mail(2026.04.03):RTS link on track for Jan 2027 opening
Malay Mail(2026.05.06):Johor to trial Jalan Skudai contraflow lane

5月7日、プノンペンで「Cambodia Investment Forum 2026」が開催されました。テーマは「投資を誘致するだけでなく、投資家を長期的なパートナーとして迎え入れる」という成熟した方向性を打ち出したものです。数字の面でも、2026年1~2月だけで105件の外国直接投資プロジェクトが承認され、総額は約9億6,600万ドルに達しています。

かつての投機的フロンティアから、ルールに基づく安定した市場へ。この変化は、長期保有を前提とした投資家にとっては追い風です。

カンボジアは詐欺拠点などのネガティブな報道もありますが、現地では現在非常に取り締まりが厳しくなっています。長期的な投資を引き込むためにもカンボジアの今後にとって良い動きと感じます。

出典
Cambodgemag(2026.05.07):Cambodia Investment Forum 2026
Asia News Network(2026年5月):Cambodian economy showing cautious resilience

※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴い、為替・市場環境により実際の収益は変動します。