vol.3:シンガポール人が脅威と感じるジョホールの真価 

本記事は2026年4月30日配信のメルマガ「【現場からの海外投資思考vol.3】シンガポール人も恐れる!?『ジョホールの真価』“2026年、資産を守り抜くためのコア・サテライト戦略”」に加筆・修正したものです。

2026年に入り、円安の定着や地政学リスクの複雑化など、投資家を取り巻く外部環境はかつてないスピードで変化しています。

こうした不透明な時代に、高予算層の投資家が真っ先に考えるべきは「どの物件が一番儲かるか」という単一の問いではありません。今、真に求められているのは、「自分の資産全体をどう守り、その上でどこで勝負をかけるか」という、アセットアロケーション(資産配分)の視点です。

本記事では、海外不動産投資を「点」ではなく「面」で捉え、資産を守り抜くための「コア・サテライト戦略」について、マレーシア(ジョホール)を中心に、最新情勢も交えて解説します。


  • 資産の大部分は「守り(コア)」で安定運用し、余剰資金で「攻め(サテライト)」を狙うのが基本。
  • 海外不動産でも、まずコア資産の条件(インフラ・実需・立地)を満たす物件を確保する。
  • そのうえで、爆発力のあるサテライト枠として、ジョホールバルがシンガポールの延長のようになるのでは?という動きを注視する。

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投資の世界には「コア・サテライト戦略」という考え方があります。

  • コア(Core):資産の大部分(約8割)を安定的な運用に充てて基盤を固める
  • サテライト(Satellite):残りの余剰資金で高いリターンを狙う

海外不動産投資においても、この「コア」をどこに据えるかが、投資全体の成否を分けます。私が考える「コア資産」に相応しい物件条件は、次の3つです。

空港や新駅が「計画」段階ではなく、すでに「完成」または「稼働」していること。 たとえば、2025年に開港したカンボジアのテチョ国際空港(TIA)や、すでに確実な需要がある中心部(例:クアラルンプール、プノンペンのBKK1など)といった既成事実が価値の下限を支えるという視点です。

実績ある管理会社の運営や世界的なホテルブランドが約束されており、投資家だけでなく、現地の富裕層や駐在員が実際に住みたがる居住スペックを備えていること。不況時でも賃貸需要が途切れない「実需層の厚み」こそが最大の防波堤になります。

後から作り出せない物理的な優位性。 たとえば、クアラルンプール中心部(KLCC)で建設が進む『ARMANI HALLSON』のように、ツインタワー前までリンクブリッジで直結する立地は、周辺のどの物件も真似できない「物理的な独占力」を有します。

まずはこうした「守りの柱」を1〜2本持つこと。これが、揺るぎない投資の鉄則です。

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「守り」の基盤が固まって初めて、私たちは「攻め」の勝負に出ることができます。ポートフォリオに爆発力を加えるためのサテライト枠として、今私が最も注視しているのがマレーシアのジョホールバルです。

シンガポールには伝統的に28の郵便番号地区(Districts)がありますが、現地の投資家の間では、ジョホールバルがいずれ「シンガポールの29番目の地区」のようになるのでは?と囁かれています。

その最大の要因が、2027年1月の開業に向けて建設進捗率が95%を超え、現在試運転フェーズに入っている「RTSリンク」です。

【ジョホール・サテライト戦略の注目ポイント】

項目内容・インパクト
移動の革命ジョホールとシンガポールを約5分で結ぶ「ワンストップCIQ」の導入。
地価の変動RTS始発駅周辺の土地価格が、わずか3年で約2倍(RM700→RM1,500/sqft)に上昇。
シンガポール人の危惧「隣国の発展が自国の物件価値を脅かす」と感じるほどのインパクト。

アジア最強の経済都市といわれるシンガポールの住民が、隣国の発展を「脅威」と感じ始めている。これこそが、ジョホールが秘めているポテンシャルの正体です。

ジョホールバルのニュースを耳にすると、投資家として「早くおさえなければ」と焦りを感じるかもしれません。しかし、ここで一度立ち止まって考えるべきは、目利きのモノサシです。

投資の世界では、新興エリア(サテライト)の価値は常に「中心部(コア)」との比較で決まります。私は近日中にジョホールを視察し、数あるプロジェクトから物件を厳選してくるつもりですが、それができるのもマレーシア不動産の基準といえるクアラルンプールの適正相場や賃貸の状況、管理の品質を、コア資産として熟知しているからです。

基準を持たずにサテライトへ飛び込むのは、地図を持たずに砂漠へ入るようなものです。「攻め」のジョホールを検討する前に、まずは「コア資産」についての理解を深め、ポートフォリオの土台を整えることをおすすめします。


K-innovate株式会社 代表取締役 柏野将史


本セミナーではマレーシア、クアラルンプールの現状も交えて詳しくお話いたします。


  1. RTS Link試運転関連:The Star, “RTS Link project on track for completion by end-2026”
  2. JS-SEZ(経済特区)動向:Business Times (Singapore), “Johor-Singapore SEZ talks enter final stage”
  3. ジョホール地価動向:The Business Times, “Some prime JB sites double in value as RTS fever grips Johor property”
  4. インドネシアOECD審査:ANTARA News, “Indonesia’s OECD accession to enter technical review in July”
  5. カンボジア運河起工:Xinhua, “Cambodia launches construction of Funan Techo Canal Section II”
  6. 物件情報:K-innovate株式会社 内部デューデリジェンス資料(ARMANI HALLSON / Le Conde BKK1 / Richmond Estelar)